今回は、田上知明@やまのすみか株式会社(@yamanosumika)さんに、わが家のシミュレーションを作成していただきました!

とよクマ
田上さんは、鳥取で工務店を経営されている建築のプロです。
とよクマ
ナツ
さて、やまのすみか株式会社は、どのような工務店なのでしょうか。

とよクマ
30秒でわかる特徴の記事がありますので、あわせてご一読ください。
参考 30秒でわかる弊社の特徴 |鳥取市、八頭郡、倉吉市、津山市、奈義町で高断熱・高気密専門の工務店は、やまのすみか(株)さて、いきなり余談ですが、田上さんのアイコンを小さくすると杉下警部にみえるのは、ぼくだけでしょうか。

ナツ
とよクマ
※田上さんのご厚意で、無事に掲載が決定しました!
とよクマ
それでは、本編に入りましょう!
もくじ
ホームズ君の絵で見る燃費シミュレーション
まずは、わが家の燃費シミュレーションからご紹介したいと思います。
とよクマ
ナツ
家の情報をかなり細かく入力し、地域も市単位でシミュレーションします。

わが家の年間光熱費は、249,921円です。
とよクマ
ナツ
一応ですが、平成28年省エネ基準を下回っています。
とよクマ
とよクマ
もうひとつ、一次エネルギーという聞きなれない言葉が出てきますね!
とよクマ
つまり、ガソリンや電気などをどれだけ使用したか?
よりも、
実際にどのぐらい自然界の恵み(一次エネルギー)を消費したのか?
で、計算されています。
とよクマ

設定温度は、
- 暖房は20℃
- 冷房は27℃
とよクマ
ナツ
年々加速する家庭内の電力消費量の増加を食い止めるために次世代省エネルギー基準においては「冷暖房負荷」の基準を定めています。冷暖房負荷の低い建物とは外気による温度の変化を影響を受けにくい建物と言い換えることができ、主に建物の断熱性・気密性を高めることで達成できます。
次世代省エネルギー基準で定められる「冷暖房負荷」は地域ごとに差はあるものの、年間の合計として290~460MJ/㎡(80.6~128kWh/㎡)とされています。
出典:エコ・省エネ住宅関連用語「冷暖房負荷」とは|リフォームLab.
とよクマ
- 暖房は61.9kWh/㎡
- 冷房は9.2kWh/㎡
あわせて71.1 kWh/㎡ なので、次世代省エネルギー基準はクリアしていることになります!
とよクマ
つまり、ドラゴンボールみたいにただ強いってだけじゃなくて、戦闘力とか数値にするとわかりやすいよね。
って感じです。

UA値は、0.53ですね。
図がとてもわかりやすく、断熱等級4のUA値が0.87なので、十分にクリアしていることになります。
とよクマ
ナツ
続いてηAC値(ηはイータと読むらしい)
こちらも、1.4なので断熱等級4はクリアしていますね。
とよクマ
ナツ
最後に一次エネルギー消費量です。

一次エネルギー消費量は、83.3GJでした。
とよクマ
断熱と同じく等級があるのですが、等級5の範囲内なので、十分に優秀なのだと思います。
さて、先ほどから気になるのは、給湯器の一次エネルギー消費量です。
暖房と肩をならべるぐらい高い数値です。
とよクマ
ナツ
このように、省エネについて考える大きなきっかけとなりました。
建もの燃費の計算結果
とよクマ
ナツ
建てる前の光熱費シミュレーションでは、家の断熱性能、気密性能、窓/玄関ドアの性能、建てる地域の気候など、家の性能に関わるたくさんの要素を、ソフトが月々に支払う光熱費として計算してくれます。暮らし始める前から光熱費が算出されるなんて、すごく優れものだなあと関心してしまいます。
出典:建てる前に光熱費シミュレーションができる「建もの燃費ナビ」とは | 鳥取市、八頭郡、倉吉市、津山市、奈義町で高断熱・高気密専門の工務店は、やまのすみか(株)
つまり、家を建てる前に、
「窓を変えると、これだけ光熱費が変わるよ!」
「断熱材を変えると、これだけ光熱費が安くなるよ!」
こんなシミュレーションができます!

とよクマ
ナツ
たぶんですが、太陽光を施工しなかったのが原因です。
余談ですが、事前にこうしたシミュレーションができれば、太陽光の採用も考えたかもしれません。
せっかくの平屋ですし……
とよクマ
もうひとつ気になったのは、UA値は0.53でZEH基準の0.6を下回っているので、ZEHの合格ラインです。
再生エネルギー、つまり太陽光を施工していれば、ZEH基準を満たしていたかもしれません。
とよクマ
ナツ
わが家の暖房負荷は約93kWh/㎡なので、その差は約6倍(正確には1/6だけど)
つまり、ドラゴンボール的に戦闘能力が5倍違うとなると……
- ナッパとヤムチャ
- フリーザ(返信前)とギニュー
とよクマ
パッシブハウスは、相当に高性能ということになりますね。
さて、続いて光熱費のシミュレーション結果です。
年間の光熱費がグラフになっています。

月平均は¥21,734、年間で約26万です。
結果をみると、太陽光発電とエコ給湯器の重要性に気づかされます。
ナツ
給湯はなかなか削れないです。。。
とよクマ
多くのハウスメーカーは、
「(太陽光やエコ給湯器を)つける?つけない?」
だけで、ここまで詳細なシミュレーションはしてはくれません。
これから建てる家の光熱費を事前に把握するのは、太陽光やエコ給湯器など高額設備導入の検討には欠かせないと思いました。
とよクマ
続いて、冷暖房の負荷と気象グラフです。

熊谷といえば、全国的に「暑い」イメージがあります。
ですが、なぜか夏の冷房より冬の暖房のほうが負荷が高いです。
つまり、入り込んだ熱を冷房で冷やすより、冬場に逃げた熱をあたためる方が何倍もエネルギーを使うよ。
こんなイメージでしょうか。
とよクマ

かなり細かく、建物の情報を入力しているのがわかりますね。
この項目をひとつ変えるだけで、シミュレーションの数値が変動するのでしょう。
室温・動的熱負荷計算で室温をシミュレーション
とよクマ
ナツ
立地条件、平面プラン、屋根や壁等の建物を構成する部材の断熱性能、熱容量、暖冷房や生活のスケジュールに従って、気象データ(拡張アメダス標準年データ2010年版)を用い、時刻ごとの外気と建物内の各部室の熱の移動を計算し、動的に室温・熱負荷計算(EESLISM連動※)を行います。
引用:室温・動的熱負荷計算 – 「パッシブ設計オプション」(室温・動的熱負荷計算・室温シミュレーション・一次エネルギー消費量・認定低炭素住宅対応ソフト)
ナツ
とよクマ
- 冷暖房を使わない室温
- 冷暖房を使った室温
- 冷暖房のエネルギー量
建物や住まいの情報を入力すると、自動でシミュレーションをしてくれます。
とよクマ

建物の計算条件からのスタートです。
とよクマ
ナツ
ちなみにサイディングでも結果は変わりませんでした。

冷暖房の運転スケジュールは、時間単位で入力します。

熊谷の気象データも合わせて入力します。
とよクマ
以上の条件で、年間室温をシミュレーションします。
まずは、グラフの見方から。

(図左)オレンジのグラフ=室内の最高↑と最低↓気温
(図左)青のグラフ=野外の最高↑と最低↓気温
(図右)オレンジの横線=健康的な室度の上限
(図右)青の横線=健康的な室度の下限

まず、すごいな! と思ったのは、数値の正確さ。
ブログで室温のレポートをしていますが、かなり正確な数値です。

グラフを見て感じたことは、
- 夏場はかなり室温が上がる(30℃オーバー)
- 冬場の水まわりの最低気温が心配(10℃より下)
もったいないですが、夏は1日中冷房はつけっぱなし。
冬場は水まわりの室温対策(ヒートショック対策)が必要だな、と思いました。
とよクマ
ナツ

グラフの黄色の帯が、暖房を使う時間。
青い帯が、冷房を使う時間です。


代表日を見て感じたのは、先ほどと同じく
- 冬場の水まわり室温対策
- 夏場エアコンは常時ON
やはりこの2つは必要なのかなと思いました。
2つを改善すれば、冬場は20℃、夏場は27℃を維持できそうです。
総合的には、十分快適にすごせる家なのだと思います。
とよクマ

冬場の暖房費が多いものの、年間約26,000円なので十分に優秀だと思います。
とよクマ

今後は、エアコンをもう1台稼働させるので、エアコン2台のシミュレーションでちょうど良い感じです。
うるさら7の省エネ性能が地味に効いてる感じがします。
とよクマ

熱を損失した結果、補填するためにはどれだけのエネルギー(暖房)が必要かのシミュレーションです。
とよクマ
ナツ
人の発する熱まで計算されています。
次は冷房機です。

「冷房費の方が暖房費より安い」
と、言われている理由がわかる図です。
夏場は、かなりの熱が入り込みます。(暑いぜ熊谷!)
部屋を冷やすには、かなりのパワーを使うかと思いきや……
とよクマ
この結果からわかるのは、寒冷地ほど家づくりにこだわるべき。
なのだと思います。
夏場の暑さより、冬場の寒さ対策のためのエネルギー消費量が、圧倒的に多い結果です。
とよクマ
寒冷地の暖房代は、埼玉住まいのぼくからは想像できないほど高額になるのだと思います。
設備ひとつ、選んだ窓や断熱材で冬場の光熱費が大きく変動するのであれば、こうしたシミュレーションは相当重要です。
ただ、家づくりには現実的に予算があります。
「予算の中で最大限、できることはなんだろう?」
きっと、田上さんのやまのすみか株式会社は、じっくりと施主の家づくりに向き合ってくれるのだと思います。
とよクマ
真夏と真冬の24時間室温シミュレーション
最後に、24時間のシミュレーションです。
夏と冬の代表日、それぞれ24時間の各部屋の気温の変化をレポートします。
8月4日の24時間室温シミュレーション

予想通り、主寝室が灼熱です。
ここが、仕事場になる予定なんですねえ……
1月3日の24時間室温シミュレーション

北側の寒さが気になる一方で、リビングは温かいです。
外壁に面している部分が少ないので、位置的にもよかったのかもしれません。
建築のプロが年間の光熱費と室温のシミュレーションをしてくれたまとめ
ぼくが家を建てる前の最大の疑問は、デザイン性よりも何よりも、
「快適にすごせる家なのか?」でした。
ハウスメーカーが断熱等級4!とはいっても、
- 実際にどれぐらいの室温なの?
- 快適にすごせる家なの?
- 光熱費はいくらになるの?
と、まったく想像できないまま家づくりを進めてきました。
結果として、太陽光やエコ給湯器は導入せず、断熱も吹き付けではなく、標準のグラスウールを選びました。
事前に今回のようなシミュレーションをしていたら、対費用効果が計算できるので、採用の結果は変わっていたかもしれません。
とよクマ
ただ、我が家は総合的に悪い数字ではなかったのが救いです。
とよクマ
建てる前に知りたかった室温や光熱費のシミュレーションではありますが、建てた後でもとても役立ちそうです。
ある意味では、家の大解剖なので、弱い部分が一目瞭然でわかりました。
ナツ
最後になりますが、ご多忙な中シミュレーションを作成いただいた田上さんにはこの場を借りて心からお礼申し上げます。
また、情報公開に快くご賛同いただき、こちらも重ねて感謝しております。
ぼくと同じハウスメーカーで建築される方、近い条件で家づくりを考えている方にとって参考になる、大変有意義な情報か思います。
この記事が微力ながらでも、納得した家づくりにつながれば幸いです。