今回は、グラスウールの施工チェックポイントをお伝えいたします。
「グラスウール施工のポイントを知りたい!」
「細かい部分はプロじゃないから、わからない!」
とよクマ
グラスウールを正しく施工してもらうコツは、
現場監督に初対面で、断熱材の施工にこだわりがある旨を先んじて伝えることです。
とよクマ
と伝えましょう。
後から指摘すると、人間関係に影響がでる可能性があります。
あらかじめ丁寧な施工をお願いしたいと希望を伝えることで、施工をチェックするポイントは、間違いなく減ると思われます。
また、
- 数ミリの空間が気になる方はウレタンスプレーでスキマを充填(自費)
- 窓枠四方の断熱材充填
特に窓枠四方の充填は忘れずに伝えましょう。
とよクマ
もくじ
グラスウール断熱材の正しい施工方法

まずは断熱材の基本的な施工方法を学びましょう。
正しい施工の知識を身に付けなければ、現場を見ても何もわかりません。
まずは、県民共済住宅の採用メーカーでもある、旭ファイバーグラスとマグ・イゾベールのホームページをくまなく読みしょう。
断熱材メーカーの動画から学ぼう
各メーカーともに動画で施工方法が学べます。
こちらも2つのメーカーともに、必ず目を通しておきましょう。
正しい施工例は豆腐のパッケージ

グラスウールの正しい施工方法を知ったところで、少し難しいなと感じたら、豆腐のパッケージをイメージしましょう。
豆腐が容器に隙間なく入り、上からフィルムがかぶせられています。
- 豆腐=グラスウール
- フィルム=防湿シート
次に、豆腐のパッケージをイメージして、正しい断熱材の施工例の画像を見てみましょう。

見た目からも施工の正確さ、美しさが伝わってくると思います。
グラスウールはもちろん詰めすぎで、ムチムチになっているのも良くありません。
防湿シートとグラスウールの間に隙間なく、かつフワッとした綿のような空気層を潰さずに。
が、ベストの充填量となります。
グラスウール断熱材の施工チェックポイント
ナツ
施工後にチェックして指摘するより、はじめの時点で現場監督を通じて大工さんに、
とよクマ
と、伝えておきましょう。
ぼくには、この一言が足りませんでした。
大工さんとしても、後からやり直しをお願いされるより、はじめから施主のこだわりポイントを聞いておく方が作業しやすいと思います。
とよクマ
大工さんを全面的に信頼しないのは失礼かな?とも思いますが、手直しをお願いするよりかは、事前にしっかりと希望を言う方が良いです。
ぼく自身もある職人なので、このあたりの気持ちは良くわかります。
とよクマ
ナツ
それでは、グラスウールの具体的な施工チェックをしていきましょう。
四隅が押し込まれていないか

サイズの合わないグラスウールを詰め込もうとすると、四隅が押し込まれ、潰された施工になってしまいます。
グラスウールが潰されてしまうと、防湿シートとの間に空白層ができてしまいます。
この何もないただの空気の空白層が、結露の原因となります。

グラスウールは充填されていればいいというわけではありません。
- グラスウール本体の綿のような空気層
- 防湿シートと大きなスキマが無い事
この2点がとても重要です。

もしグラスウールが押し込まれ防湿シートとの間に何もない空白層があるようでしたら、グラスウールの空気層をしっかりと作り、防湿シートにバランスよく密着した状態にしてもらいましょう。
上下に隙間が無いか
写真はありませんが、充填したグラスウールのサイズが小さいケースです。
上下に隙間ができると、グラスウール劣化の原因となります。
基本的にグラスウールは、正しく施工されれば劣化しない素材です。
とよクマ
グラスウールの上下に隙間があると、断熱効果が損なわれるばかりでなく、結露が原因で年月と共に傷んでしまいます。
スイッチなどの凹凸のある部分

正しい施工例のように、縦一面の施工の難易度は高くありません。
難易度が上がるのが、突起物のある施工箇所です。
- 電気のスイッチ
- コンセント
- ガス栓
- エアコンのダフト
写真では、薄く見えるので施工されていないように見えますが、スイッチの後ろ側にグラスウールが押し込まれている状況です。

この場合、突起物付近は切れ込みを入れ、スイッチの後ろ側に断熱材が回り込むようなイメージが的確な施工となります。
電気の線付近
上のスイッチの例と共通の話でもあります。
基本的に電気の線は天井から柱をつたい、スイッチボックスの上に接続されます。
つまり、電気の線が多いと上からグラスウールを圧迫してしまうかもしれません。
電気の線をグラスウールで包み込みながら、潰されないように施工してもらいましょう。
狭い部分の充填量

断熱材の写真をみると、シートに395や430の文字が見えます。
この数字は、グラスウールの幅(サイズ)です。
基本的には「グラスウールの幅=施工の幅(木と木の間のスペース)」になっていて、効率的に施工ができるようになっています。
しかしながら、狭いスペースは規格外になります。

規格外の部分は、サイズに合わせてカットする施工となります。
写真はサイズより大きかったのか小さかったのかは判断できませんが、充填量が足りないように見えます。
写真のように、少し薄いな?と感じたら、防湿シートとの間に空間があることになるので、良い状況とは言えません。
窓枠の上下左右のスキマ

グラスウール、吹き付け断熱ともに窓枠の四方も充填を依頼しましょう。
この部分は見落としが多いので、必ず事前にお願いしておきましょう。
もちろん入れます。
— なおっぺ (@naoppeman) September 14, 2019
以前の会社で大工が手を抜き大クレームになった監督がいました。
現場でよくやる対応としては、一枚のグラスウールをちぎって隙間に埋めた後気密テープにて塞いでいます。
それか発泡ウレタンという方法もあります。
たいたいこの二択だと思います。
メーカーに確認をとりましたが、
「断熱欠損となるので、基本的には窓枠四方もグラスウールをちぎって入れてほしい」
との見解でした。
断熱欠損は結露のリスクがあるので、看過すべきではないです。可能な限りウレタンで埋めるのが正解と思いますので、良い施工をしてもらいましたね。
— 田上知明@やまのすみか(株)|智頭町の改修もあと少し! (@yamanosumika) September 14, 2019
それでも少し不安があったので、Twitterの専門家の方々からの力もお借りしました。
数ミリの隙間は致し方が無いですが、1cmぐらいのグラスウールを詰め込める隙間があれば、充填しておきましょう。
同じように、発泡ウレタン(吹き付け断熱)を選んだ方もこの部分は確認しておきましょう。
吹き付け断熱を選んだ方は、グラスウールではできないミリ単位の隙間も充填が可能となります。
この吹き付け断熱の特徴を生かし、細部までもれなく充填をしてもらいましょう。
入れすぎも注意
グラスウールは入れすぎも良くありません。
明らかにムチムチで破裂しそうなほど充填されていたら、調整をお願いしましょう。
筋交いの施工

筋交いの施工は、
- グラスウールを筋交いの裏に通し
- 筋交いに合わせてカットし
- 筋交い近辺のグラスウールを盛り上げ
- 筋交いの高さと平面にする
参考:充填断熱施工マニュアル|省エネ・温暖化防止・リサイクルに貢献するグラスウール断熱材 硝子繊維協会
写真では少し凹凸があるように見え、筋交いの柱と同じ高さまで盛り上げられているのか確認が必要です。
正方形ではない枠のスキマ

正方形や長方形の枠になっている部分は、サイズさえ正確であれば、施工は難しくありません。
写真のように正方形ではない部分の施工には、技術が必要になります。
この部分は、凹凸部分に合わせるように切れ込みを入れ、隙間なく施工します。
写真では角の部分が薄いので、断熱材が充填されているかの確認が必要です。
防湿シートの破れ

グラスウールの上に貼られたシートは、実はとても大事なシートです。
断熱材を固定させる役目だけのフィルムではなく、防湿効果のある特殊なシートです。
このシートが破れていると、外からの湿気が室内に入ってしまいます。
必ず破れていないかのチェックをしましょう。

破れていた場合は、大工さんが防水気密テープを持っているので、必ず補修をお願いしましょう。
グラスウール断熱材の改善要望は現場監督に
グラスウールも含め、現場で何か要望を言いたい場合は、必ず現場監督に伝えましょう。
色々と理由はありますが、現場監督が現場の統括責任者だからです。
大工さんと個別に話し、何かトラブルが起こってから現場監督が内容を把握するのは良い流れではありません。
また、大工さんは職人さんですから、直接自分の仕事にダメだしされるのは、気持ちが良いとは思えないでしょう。
大工さんによっては、気さくな方もいらっしゃいます。
顔を出すごとに仲良くもなりますが、一線は大事にするのがおススメです。
現場監督に要望を伝える時は大変ですが、エビデンス(根拠)をもって伝えましょう。
ぼくはメーカーの公式見解を伝えました。
第三者の断熱検査はそれほど厳しくない
ハウスメーカーにもよるのでしょうが、断熱材施工の第三者検査が入りました。
ぼくの感想としては、
とよクマ
この時点では、壁の断熱材施工のみで、天井、窓枠もまだ設置すらされていませんでした。
逆に考えると、壁の断熱が最も重要な部分なのかもしれません。
ぼくが気になった部分は、特に検査員には指摘されませんでした。
唯一の指摘は、「タッカー(防湿シートの止める金具)の位置が少しずれている」のみです。
防湿シートは、タッカーを止める位置も細かく決まっています。
補修後のグラスウール断熱材施工例

押されていた断熱材を引っ張り出してもらいました。

スイッチまわりにも充填をお願いしました。

スイッチ、コンセント周りのチェックをお願いしました。

四方の押されていた箇所を、引っ張ってもらいました。

こちらも、四方の押されていた部分を引っ張り出してもらいました。

小さな隙間を埋めてもらいました。

コンセント周りを充填しました。

ガス栓とコンセント周りの充填をしました。

筋交い付近の調整をしました。
主に左下の充填が気になっていました。

こちらもコンセント周りの施工です。
少し充填量が多い気もしますが、許容範囲内です。

四方の窓枠の充填をお願いしました。

すべての窓枠のチェックと施工をお願いしました。

窓枠は小さなスキマですが、防湿テープの施工だけでは、結露のリスクがあります。

断熱材は気密が重要です。
出来るかぎり隙間のない施工にこだわりたいです。

グラスウールを選択された方は、自分で発泡ウレタンのスプレーを買って、ミリ単位の隙間を埋めるのも良いでしょう。
ぼくはこれ以上はお願いできそうな空気ではないので、ここまでの施工にしておきます。
予め(最初の時点で)お願いをしておけば、それほどイメージは悪くならないでしょう。

窓枠の細かな充填作業は、小さなペンなどを使い、丁寧に施工していただきました。
現場監督と大工さんには、大変なお手間をおかけしましたが、心より感謝いたします。
グラスウールの施工方法【施主のチェックポイント】まとめ
これから建てる新しい家は、何年住む予定でしょうか。
多くの方が30年は住むと思われます。
正確ではない断熱材の施工では、壁の中が結露になり、最悪のケースでは内部がカビて痛んでしまう懸念があります。
何より、家は人生で一番大きな買い物です。
プロの職人さんの断熱材の施工にモノを言うのは、大変なストレスではあります。
ですが、一時の自分への評価のために我慢し、30年悶々とした日々を過ごすのは、更に大きなストレスです。
ぼくは表現としては柔らかく、指摘ではなく「疑問とチェック、要確認」でお願いしました、
おススメは、あらかじめ断熱材についてはこだわりを持っている旨を、最初の時点で現場監督に伝えておくことです。
現場監督から大工さんに伝えてもらいましょう。
その後に、大工さんとファーストコンタクトをとるのがおススメです。
遅くとも断熱材の施工がはじまる前に、世間話のついでにでも、断熱材についてこだわりがある旨をそれとなく伝えておきましょう。
現場の職人さんを信頼し、リスペクトするのはとても大事なことです。
だからこそ、何も言わないのが良いのではなく、こだわりのポイントをしっかりと伝え、より丁寧に施工をしてもらいましょう。
この流れで、人間関係にヒビは入りません。
もしグラスウールに付きまとう施工チェックのストレスを不要にしたいのであれば、オプションで吹き付け断熱を選択するのが良いと思います。
ぼくは今回の件で、オプション料金分を働いたと思っています。
とよクマ
吹き付け断熱もグラスウールも、正しく施工されれば断熱性能に大きな差はないのです。
吹き付け断熱は誰でも正しく施工ができる反面、グラスウールは施工の技術力に左右されます。
だからこそ、細かいチェックが必要となるのです。
長くなりましたが、この記事で少しでも良い家が建つ切っ掛けになれば、これほど嬉しいことはありません。
よかったらですが、続編である天井断熱系の記事もご一読ください。

